孫正義氏

タオバオ・ドット・コムの登録者は年々増加していて、オークションを無料提供しているにもかかわらず、広告収入だけで黒字化できています。

08年の売り上げは約1兆4000億円。ヤフオクが黒船のイーベイを日本から撤退させたように、タオバオは中国で70%のシェアを誇っていたイーベイを追い出すことに成功しました。

中国のネット利用者が今後も伸びていくことは確実で、Eコマースの規模もさらに大きくなると見られています。

10年6月、ソフトバンクはヤフージャパンとタオバオの業務提携を発表。世界最大のEコマース市場が誕生しました。顧客数2億6000万人、取扱高3兆8000億円、商品数4億5000万品目と圧倒的な存在感です。

中国の他の会社への出資もしており、これからもソフトバンクのパートナー戦略はさらに進化する予定です。

京都大学経営管理 大学院准教授 曳野 孝氏が解説

曳野 孝氏

ソフトバンクはドメインで戦略を分けている。国内中核事業は自前主義、海外ではパートナーに出資するポートフォリオ経営です。パートナー戦略はローリスク・ローリターン。今後グローバル企業になるためには、海外でも国内と同じように自前で積極的にリスクを取っていく必要がある。ただ孫さん一人で日本と海外の両方は無理。各地域の市場を任せられる人材を育成できるかどうかが、今後の海外展開の鍵になるのでは。

●正解【B】――信頼できる企業と組めば急成長が期待できるから

※本記事は2010年9月29日に開催された「ソフトバンクアカデミア」での孫正義氏の特別講演をもとに構成されております。設問文等で一部補筆・改変したものがあります。

(大塚常好、小澤啓司、原 英次郎、宮内 健、村上 敬=構成 浮田輝雄=撮影 時事通信フォト=写真)
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