現地市場を熟知した人材に経営は任せる

櫻田謙悟・SOMPOホールディングス社長

損保ジャパン日本興亜ホールディングス(以下「SOMPOホールディングス」)においては、海外保険事業がグループの成長の一翼を担っている。現在、30カ国を超える海外ネットワークを有しており、海外戦略の遂行上、グローバル人材の育成が急務となっているが、その手がかりを海外のグループ会社に見つけることができる。

例えば、ブラジル現地法人には約2000人もの社員がいて、トップはブラジル人が務めている。また、ここ数年で英国やトルコの損保会社を買収したが、そこでもマーケットを熟知した経営者にマネジメントを委ねている。

彼らを見ていると「こんな人たちをグローバル人材と呼ぶのだろう」と感じる。英国ロイズマーケットで特殊な保険引受けを手がけるキャノピアスのスタッフには、ずっとその会社でキャリアを積んできたという人はまずいない。CEO自身もアメリカでビジネスを経験し、その後ヨーロッパで活躍したあと、同社を創設している。トルコのトップもフランス系の保険会社で経験を積んできた人物だ。語学にも堪能でマネジメント能力も高い。

日本国内でのグローバル人材の条件を考えたとき、一般的に英語力や外国人とのコミュニケーション力が問われることが多いが、私はそれ以上に“地頭”の良さこそが重要だと思う。これは俗にいうIQの高さではなく、自分の持ち場で、自分なりのロジックを組み立て、素早く次の一手につなげる能力のことである。「拙速は巧遅に勝る」というが、時代を勝ち抜くには、好機に間に合わない模範解答より、それに手が届く60点の答えに意味がある。競争の激しいグローバル市場では、なおさらそれができる人材が必要だ。

そうした能力の習得には幼少時の家庭環境や友人関係に加えて、できる限り多くの失敗や成功体験が必要だ。グローバル化が進む今日、こうした能力が要求される場面が間違いなく増えていることを念頭に、我々も人材育成に取組んでいく必要がある。そのため、当グループがシンガポール国立大学ビジネススクールと提携して開講した企業内大学「SJNKグローバルユニバーシティ」においても、講義だけではなく「実践知」を得るための海外業務経験をセットにしていることを特徴としている。