私は学生です。人生で何をすべきかを見つけるために、たくさんの本を読み、数え切れないほどの活動に参加してきましたが、いまだに自分の職業人生の第1歩さえ踏み出せないでいます。どうしたらいいですか。
レオリー・ナブワン(インドネシア、メダン)
多くの若者がキャリアの入り口で途方に暮れています。友人やクラスメートが給料の高い出世コースのすばらしい仕事につくのを目の当たりにし、両親からは、この会社で働けとか、あの会社にしろとか、大学院に進めなどといったアドバイスを聞かされます。そして、あなたのように本を読んだり、「人生で何をすべきか」という問いにヒントを与えてくれるプログラムに参加したりします。しかし、その答えは事態をさらに混乱させるだけです。
あなたはある種のパニック状態に陥っているのでしょう。それはなんら問題ではなく、むしろ自然なことです。でも、そのままでは前進できません。
ほとんどのキャリアは、最終到達地点としてどこを目指すかという壮大な決意や、いかにしてそこに到達するかという精巧なゲームプランによって始められるわけではないということです。ちょっとおもしろそうな仕事、つまり自分のスキルや関心や目標とそこそこ合っているのではないかと思える仕事からスタートするのです。
最初の仕事が、自分にピッタリの仕事ではないとわかった人は、もっとよく合う仕事に移り、そこからさらにしっくりいく仕事に移り、というふうに、どんどん移っていきます。そしてついにある日(たいてい何年も経ってから)待ち望んでいた仕事、自らにとって意味と目的を与えてくれる仕事についていることに気づくのです。スタート時点でわかっていればよかったのに、と思うでしょう。でも、まだ働き始めてもいない人にはわかりようがないのです。
ただし、その「完璧な」仕事でさえ試練や苦難がないわけではありません。その仕事について半年後にいやな上司がくるかもしれない。会社が買収されて、あなたの仕事が変わったり、失業したりするかもしれない。そうなったら、また一から始めなくてはなりません。キャリアは長く、予測不可能なもので、一直線に進むことはめったにありません。ジグザグに進んだり、止まってまたスタートしたり、予想もしていなかったカーブや角を曲がったりします。勤勉さと才能は重要ですが、運も作用するのです。
今のあなたにとって重要なのは、とにかくスタートすること。成長著しい企業や新しい市場動向について、影響力のある人物や新しい文化現象について学んでください。さまざまな職業の、さまざまな経歴の人と話をしてください。質問してください。それを頭と心の両方でよく考えてください。すると、ふとしたときに心が少なくとも頭と同じくらい何かを教えてくれるはずです。
そうしたら行動してください。仕事につくのです。くれぐれも言っておきますが、それは理想の仕事である必要はありません。スタートするには十分だと思える仕事であればいいのです。
神があなたに与えたもうた仕事、あなたにピッタリのキャリアは、そのうちにやってきます。そしてそれは、あなたが大多数の人と同じく一度に1歩ずつ歩んでいく人生の旅の切り離せない一部となるでしょう。