総合書店「丸善」が創業したのは明治2(1869)年。ハヤシライスを作った男、早矢仕有的が、近代的な西洋の知識を日本に輸入するために創業した。以来140年、丸善は数ある書店のなかでも、洋書、和書の品揃えの豊富さで知られてきた。「知」の本拠地ともいえる丸善の本店店舗は東京駅前の丸の内オアゾにある。1階から4階までの総フロア面積は約1750坪。120万冊の書籍、雑誌が並んでおり、売り場面積の広さ、在庫本の冊数ともに日本最大級である。

70人近いスタッフはさっと列をつくり、すぐに朝礼が始まる。およそ10分間と短時間だ。

70人近いスタッフはさっと列をつくり、すぐに朝礼が始まる。およそ10分間と短時間だ。

本店を運営するスタッフは200人。早番、遅番があるので、毎朝8時30分から行われる朝礼につねに出席するのは70人ほどだ。また、遅番スタッフのために昼礼、夕礼も行っている。

本店店長の壹岐直也氏は丸善の朝礼の特徴を次のように語る。

「毎日行うのは和書、洋書といったセクションごとの朝礼です。ほかに毎月1日と週の初めにも全体朝礼をやっています。スタッフ同士のコミュニケーションを緊密にするのが朝礼の役割です。そして、私どもの朝礼の基本は、とにかく短い時間で終わらせ、お客さまを迎える体制を整えることです」

内容もまたシンプルだ。「売り上げ数字、目標の発表」「セクション長からの伝達事項」、そして、いらっしゃいませ、ありがとうございますなどの「接客七大用語の唱和」の3つである。

「全スタッフが数字を意識することを徹底しています。数字を頭において仕事をすることで、目標を達成しようという気持ちが高まる」(壹岐店長)

店長が売り上げや対前年比の数字を発表すると、スタッフは全員、各自が肌身離さず持っている、名刺サイズの予算表に数字を書き入れる。書店というと、店頭で客を待つだけの商売のように思いがちだが、丸善は「待ち」の商売ではなく、積極的な販売姿勢を取っている。

(尾関裕士=撮影)