JIMOSは化粧品や健康食品を扱う通販の会社だ。従業員は約200名。業界では電話応答の質の高さで知られ、同社のコンタクトセンターには内外からの見学者が絶えない。顧客満足度の高さを評価され、2009年CRM協議会からベストプラクティス賞を受賞している。
センターには150名のコミュニケーターが在籍しており、うち90名はアルバイト、パートの従業員だ。彼女たちは全員揃いのユニホーム姿で電話に向かい、優しく顧客に語りかける。
センターは年末年始を除き年中無休だから、朝礼は土日も行われる。8時30分になると、フロアのコミュニケーターが立ち上がり、「おはようございます」の挨拶で朝礼が始まる。内容は売り上げ報告、新商品の説明、顧客の声の紹介などで、15分間で終わる。
興味深いのが、アルバイトとパートに対する表彰、「オスカーの発表」だ。アカデミー賞のオスカー像から名を借りたそのセレモニーは毎月1回行われるが、売り上げに対するものではない。
「きらきらと輝いている人、頑張っている人」が対象だ。センター長の野元寿代さんは「オスカーは数字を評価の基準にしていません」と語る。
「コミュニケーターはお客さまに商品の説明をするだけでなく、自分の気持ちを伝える仕事です。お客さまや仕事仲間から『頑張ってるね』と言われることが評価なんです。例えば、朝一番に来て商品の勉強をしていた人、後輩の面倒をよく見る人、また、遅刻ばかりしていたのに定時に来るようになった……。褒めてあげたい人にあげる表彰です」
誰を表彰するかは十数人の責任者が話し合って決める。不思議なことに「今月はこの人」とひとりが言うと、全員が一致することが多い。同社の顧客満足度の高さはこういった施策にも表れている。
(松隈直樹=撮影)