ファーストリテイリング傘下でユニクロより安い価格の商品を販売するg.u.。不況が続く今、着実に業績を伸ばしている。各店舗で行われている朝礼はユニクロのそれとほぼ同じだ。

(1)開店前に短時間で行う
  (2)参加意識を高める工夫がある
  (3)必ず接客用語を大声で唱和する

店長はレジカウンター内に立って朝礼を行う。レジの後ろには迅速対応ができるようにミシンが。

店長はレジカウンター内に立って朝礼を行う。レジの後ろには迅速対応ができるようにミシンが。

この3つが特徴で、小売店の朝礼としては基本を大切にしたものといえる。g.u.は秋田から岡山まで73店舗を擁している(9月末現在)。メンズ、レディス、キッズ向け衣料のほかに、靴やかばんもある。人気は何といっても990円のジーンズと490円のTシャツ。商品はどれも破格の値段だが、バッタ屋に並ぶような安物ではない。店内の装飾や商品のセンスにあか抜けないところもあるが、質は悪くない。将来、g.u.が全国津々浦々に展開したら、ファンは増えユニクロのライバルになるだろう。ユニクロが恐れるべきはH&MやGapではなくg.u.ではないか。

さて、朝礼は毎日午前10時45分から行われ、10分程度で終わる。何より驚いたのは参加者が少ないこと。200坪の大型店で働く人数は3~4人だ(西葛西店の場合)。同じ規模のユニクロ店舗の半数だという。よほど効率的に仕事をしなければ従業員は忙しさで目がまわってしまうに違いない。

西葛西店の中沢賢一店長は「朝礼では大切なことだけをやっています」と語る。

「大切なのは情報の共有です。朝礼では達成した実績の数字、商品や顧客に関する情報をみんなが同じレベルで知ることに力点を置いています。それと、一方的に連絡事項を伝えるのではなく、必ず全員が何かひとこと話す機会を設けています」

g.u.では会社設立の2006年秋以来、どの店でも欠かさず朝礼を続けている。基本を守ること、長く続けることが接客の力となっている。

(尾関裕士=撮影)