商品の8割がユニクロの半額」なのが同じファーストリテイリング傘下の衣料チェーン、g.u.だ。g.u.の店舗で行われている朝礼は小売業における原則を守ったものだ。開店前に短時間で行われ、従業員が情報を共有することを第一の目標にしている。

スタッフは皆、手のひらサイズのノートを持ち、連絡事項を真剣にメモしていた。

スタッフは皆、手のひらサイズのノートを持ち、連絡事項を真剣にメモしていた。

西葛西店の中沢賢一店長は毎日の朝礼の内容について、こう説明する。

「前日達成した実績の数字を共有する、連絡事項を伝達する、ファーストリテイリングウェイの唱和、販売6大用語の唱和。どれも大切ですが、しいていえば、いらっしゃいませ、かしこまりましたといった販売6大用語を唱和することが基本中の基本です。開店前に大声で唱和することで販売員はお客様を迎える心の準備ができるのです」

販売6大用語は上記のほかに、少々お待ちくださいませ、大変お待たせいたしました、ありがとうございます、どうぞまたお越しくださいの4つだ。g.u.では必ずこれを大声で発声してから店を開ける。

「なんだ、そんなの簡単じゃないか」と思う人もいるだろうが、以上の6つの言葉を満足に使えない小売店は意外と多い。客はきちんとした言葉で応対されると、その店に好意を持つものだ。g.u.にせよ、ユニクロにせよ、不況下でも業績を伸ばしている小売業はそうした原則をちゃんと守っている。

なお、g.u.、ユニクロでは各店舗に最低ひとりは障害者の従業員が勤務している。私が見ていたら、西葛西店の中沢店長は障害者の従業員を特別扱いすることなく、ごく普通に仕事を担当させていた。仕事だけでなく、朝礼においても障害者の従業員に販売6大用語を唱和するリード役をまかせていた。参加のさせ方が実に自然なのである。

各企業で障害者雇用の担当をしている人は一度、g.u.もしくはユニクロの販売現場を見学するといい。必ず得るものがあるはずだ。

(尾関裕士=撮影)