カリスマオーナーのDNAを引き継ぐ
【弘兼】東京の街並みを再現したジオラマは圧巻です。六本木ヒルズから東京タワー、建物の窓や看板などの細部まで精緻にできていますね。
【辻】東京の中心部を1000分の1のスケールで再現しています。
【弘兼】私の描いている「島耕作シリーズ」は森ビルと縁があります。島耕作が上海に赴任する際、オフィスをどこにおこうかと考えていたとき、一つのビルが目に付きました。それが、森ビルが開発したビルでした。
【辻】上海の恒生銀行大厦(HangSeng Bank Tower)ですね。
【弘兼】そうです。その後、島耕作が社長となった初芝五洋ホールディングスのオフィスを置いたのが、港区の愛宕グリーンヒルズでした。当初、このビルも森ビルだとは知らなかったんです。
【辻】ありがとうございます。
【弘兼】辻さんは森ビルの3代目社長にあたります。初めての創業家以外出身の社長でした。社長になったとき、それまでのやり方を引き継ぐのか、あるいはがらっと変えてしまうのか、どう考えていましたか?
【辻】森ビルは都市づくりの思想がしっかりしている会社です。前社長の森稔はカリスマオーナーでした。会社を引き継ぐ中で、そのDNAを大切に残していこうという考えが強かったですね。