伝説の名経営者・土光敏夫さんは『土光敏夫 信念の言葉』(PHP文庫)で「肯定的態度とは、相手の発言を相手の立場になって聴き、どこに賛成しようかと考える姿勢をいう」と述べている。この姿勢こそが究極の答えといえるかもしれない。

また、進駐軍系上司との関係性では、どうしても緊張感が生まれやすいので、ごく普通の会話を数多くすることも重要。とはいえ仕事中に、いきなり気さくな感じで話しかけるのも難しい。また、会議や企画書のやり取りなどの際に会話があっても、なかなかごく普通の会話はしにくいもの。そんなときは、昼食を食べに行く際に「一緒にどうですか?」と部下のほうから声をかけるといい。

こうした単純接触の原理をうまく活用して、食事をしたり、一緒に言葉を交わしたりといったことに費やす時間を積み上げれば、それに比例して、互いのコミュニケーションはよくなるはずだ。

▼特徴
・身にしみた企業カルチャーは全く異なる場合もあるが、人間性として特定の特徴があるわけではない。
・合併相手先に乗り込むのだから、上司としても緊張しているのは当然。

▼対策
・様子見の沈黙は反抗と受け取られかねない。
・「なにか新しく面白いことが始まる」と期待感を持って上司の話を肯定的に捉える。
・昼食などに誘うのは部下から。普通の会話を積み重ねれば距離も縮まる。

本田有明
本田コンサルタント事務所代表。日本能率協会を経て人事教育コンサルタントとして独立。経営教育、能力開発の分野でコンサルティング、講演、執筆活動に従事。著書に『上司になってはいけない人たち』(PHP研究所)など。
 
(小澤啓司=構成 永井浩=撮影)
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