職場では、上司や部下といった立場の違いで、意識のすれ違いが生まれやすい。だが、そうした問題を簡単に解決できる「行動の仕組み」がある。

即答・快諾後に条件交渉しよう

部下は、上司に評価されなければいけない。上司に気に入られれば抜擢もされるし、いい仕事もまわってくる。ただ多くの部下は、ちょっとしたやりとりで上司の評価を上げられるのに、そのチャンスを逃しがちだ。

上司は部下を、「仕事ができる・できない」だけでは評価していない。それ以前の人間くさいところから、善しあしを判断している。それは「コミュニケーション力」。上司は「自分が言ったことにどう答えたか」で、部下の評価を上げたり下げたりしているのだ。

とにかく上司と会話する機会を増やし、評価を上げるチャンスを増やそう。上司の評価を上げるための手っ取り早い方法が、「前向き」な返事をすること。指示や依頼の受け方次第で印象は変わる。どう言われても、「はい! わかりました!」と即答してみよう。断ったり、「難しい」「ちょっと厳しいですね」のような「後ろ向き」と思われかねない返事をすると、それだけで確実に印象は悪くなり、部下としての評価が下がる。「あいつは何を言っても『難しい』と言うヤツだ」と上司に刷り込まれたら、評価も高くはならない。

もちろん「仕事を安請け合いしていたら持たない」という防衛本能が働いて、即答・快諾できない気持ちはよくわかる。

だが、返事をすることは指示を丸呑みすることとは違う。たとえば「はい、やらせていただきます!」と即答・快諾したあと、「ただ、今は○○という状況なので、△△日までかかっていいのならOKです」のように納期や担当範囲などについて条件をつけて、仕事の負荷を緩和する交渉をすればいいのだ。もし本当は断りたいのなら、出す条件を厳しいものにすればいい。

最初に上司が望んだ納期の早さや、仕事の範囲とは変わったとしても、前向きな返事をしたことや、上司に頼まれた仕事を受けてやり遂げようとしている印象に変わりはない。

(青木健生=構成 澁谷高晴=撮影)
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