職場では、上司や部下といった立場の違いで、意識のすれ違いが生まれやすい。だが、そうした問題を簡単に解決できる「行動の仕組み」がある。

仕事名のフォルダを作成しておく

多くの部下は、上司から指示された仕事を夏休みの宿題のように最後の最後に自分に負荷をかけて片づけようとする。だがそれでは仕事の質は決して上がらない。仕事の質を上げる「段取り力」をつける必要がある。

部下が「段取り力」を上げるために利用してほしい「仕組み」は2つ。1つは、「すぐに着手する」仕組みを仕事に組み込むこと。その仕事の完成は先でもいい。とにかく受けたら、塩漬けせずにすぐ「ツバ」をつけておく。「仕事名でデスクトップにフォルダをつくる」という仕組みは非常に効果的だ。デスクトップにあれば常に目に触れるので、忘れることもない。

仕事を効率的にこなすために一番よくないのは、受けた仕事を完全に忘れてしまうこと。その仕事をあとになって思い出し、あわてて急にやろうとすること。そうなると集中して仕事ができないし、不安にもなる。

その仕事を忘れないためにも、とにかくフォルダだけでもつくってしまう。それに実際はフォルダをつくったら、自分でも欲が出るのでファイルに何か書き、「このあとどうしようか」ぐらいにしておく。これなら記憶にも残るし、頭のスミに置いておけば別で知った何か、聞いた何かがヒントになって、その仕事を仕上げるときに役立つ。ツバをつけておくことが、仕事の質の向上にもつながるし、着手を早めれば、仕事の概要や問題、想定時間なども早くつかめる。

そしてもう1つの仕組みが、「スケジュールの前倒し」。早めに進めることで、どんな仕事にも余裕が生まれる。納期も実際の数日前に「自分の納期」を設定しておいて、それをもとにスケジュールを組み立てたほうが、実際の納期には遅れない。実際の納期は忘れてもいい。早めに動くことで気持ちのゆとりも持て、仕事が早いという評価も得られる。もし突発的なトラブルがあっても、時間にも心にも余裕があるため対処しやすい。

(澁谷高晴=撮影)
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