部下は、器の大きな上司を求めている。部下が失敗をしたときも、「1分間ルール」を設けることで、上司への印象はかなりよくなる――。

部下の失敗にどう対応するか

部下から「人望」を得たいと願う上司は多いが、人望も「仕組み」次第で得られる。簡単にできるのは、まずは部下の話をよく聞くこと。部下は、器の大きな上司を求めている。トラブルを起こしたときもミスしたときも、まずは「きちんと受け入れてくれること」を望んでいる。だから自分の中で「1分間ルール」という仕組みをつくり、部下のどんな話でも1分間は聞こう。それだけでも「受け入れられた」と思われ、聞いてくれた上司への印象はかなりよくなる。

また、ピンチに動じない「フリ」をするだけでも器は大きく見える。たとえばミスした部下には、まずは事実の報告だけをさせよう。そのときのコツとしては、まずは部下を座らせること。相手だけ立っていては目線が違うため、話し合う環境がよくない。相手を座らせ、自分も座っていたほうが落ち着くので、まず座らせる。

また、相手に着座を促すことで、「私は落ち着いている」と自分に言い聞かすこともできる。部下を座らせて、「順を追って、話してごらん」と落ち着いた感じで語る。そして話を聞いたあとに「今回のことで何を学んだ?」と問いかける。そして部下に「○×を学びました」と言わせたうえで、「ならいい。君が学べたのならいいんだ」とでも言って締められたら、それだけでもかなり「器」感は出せる。

つまり「この人はミスやトラブルや損失ではなく、私に目を向けてくれているんだ。私を大事に思ってくれるんだ」と思わせられたら、上司は部下から人望を得られる。部下が失敗したときこそ、上司にとって人望を得るためのチャンスなのだ。

上司が人望を得るための、ちょっとしたチャンスがもうひとつある。それは部下が、ゴミ捨てのような周りに評価されにくい仕事を自主的にやっているのを見かけたとき。誰もほめないところでほめるから、こちらの気持ちが効果的に届くのだ。

(澁谷高晴=撮影)
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