あの支店長が食べるのは焼き肉ばかり
ベテランの経理担当者は、「多くの精算書や領収書・請求書を見ていると、その社員の好みや行動の傾向まで分かる」と語る。飲食経費でいえば、高級な店舗にこだわる人なのか、グルメ志向か、B級グルメの店が好みなのかも見えてくる。また脂っこいものが好きか、和食好みかも把握できる。
たとえば取引先とのランチミーティングや夜の会食でも肉類ばかり食している支店長もいる。同じ店にこだわる人もいるが、彼はどの店に行っても基本は焼き肉である。会議の弁当代に吉野家の牛丼のレシートが出てきたときにはさすがに驚いたそうだ。
一般的には、酒を飲まない社員は、接待の宴席は少ない。酒を飲むかどうかで飲食経費の支出額は相当異なってくる。ゴルフが好きかどうかも同様である。ゴルフが嫌いな営業の管理職は、自ずとゴルフ接待の数は減る。
経理担当者は、社員の経費の使い方を通じて、人となりを確認している。特に女性社員が、細かなところまで見ていることに驚くことがある。精算書の相手方の会社名や参加者だけでなく、領収書からどんな店舗なのか、どのあたりで活動しているのか、レシートから酒の種類や食べ物の好みまで把握していた担当者もいた。彼女は書類を見れば、20数人の営業部員の誰が提出したものかほぼ分かるという。
このように嗜好や行動の傾向が知られるくらいならまだよい。場合によっては自らの評判にまで結び付くことがある。