面接で聞くのは「一番輝いた過去」
「そのとき書いたエピソードは、今では自分の著書の随所に出てきます。いいことだけでなく、つらい思い出も振り返ることで、ひとつひとつの経験が自分の財産になっていることを実感しています。実際に経験したストーリーは、読む人にとっても印象深い。私が採用する立場で人を見るときも、プロフィールや職務経歴書の裏に隠れているストーリーが気になります」
岩田氏は採用の面接で、役員でも新卒でも同様に必ず尋ねる質問がある。ひとつは、長所と短所を3つずつ。長所の裏返しとして表れやすい「短所」を自分自身で把握しているかがポイント。社交性を長所に挙げる人は「八方美人」、リーダーシップを長所にする人は「強引すぎる」という裏面を意識している人が望ましい。そして、もうひとつが「あなたが一番光り輝いていたときはいつですか」という問いだ。
「仕事でなくても、趣味でも、新卒ならばアルバイトでも部活でもいい。自分がもっとも楽しかった経験、具体的なストーリーを聞けば、その人の価値観がわかるし、会社へ貢献してくれるかどうかも判断できる。『チームをまとめるのは大変だったけど、力を合わせて実績を挙げ、皆で喜びを分かち合った』などうれしそうに語ってくれれば、採用ですね(笑)」
社長就任オファーが舞い込んだ「奇跡の資料」
【大学卒業後からの20年を記した自分史】
岩田氏が2社目に就任したイオンフォレストの社長になるきっかけとなった自分史。全3万字の一部。自身の過去を、良いことだけでなくつらかった出来事や、その当時考えていたことまで、詳細に記している。岩田氏は自分史の作成は自己分析にもなると、若手ビジネスマンにも作成を薦めている。
(小檜山 想=構成 宇佐美雅浩=撮影)