イラク撤退がそもそもの間違いだった

2017年1月20日、新大統領に引き継いでオバマ大統領は退任する。2期8年のオバマ政権とは何だったのか、振り返ってみたい。

08年の大統領選に勝利して、オバマ大統領は誕生した。建国以来初めての黒人、つまりアフリカ系アメリカ人の大統領である。私の第一印象は弁舌の巧みさで、大統領選の勝利演説や就任演説、「核なき世界を目指す」というプラハ演説など、感動的なスピーチで期待を抱かせた。人権派弁護士として活動していたから、理想を語るのは得意なのだろう。「Change(変革)」「Yes We Can(やればできる)」というスローガンを掲げて大統領になったが、具体的に何をやるのかはあまり約束していない。上院議員を一期務めただけで知事や市長をやったことはないから行政の長としての実務経験は乏しいし、経済に長じているわけでもない。

記者会見でトランプ氏を批判するオバマ大統領(2016年5月6日)。(写真=AFLO)

選挙公約に掲げ、政権の最重要課題と位置付けてきたのは医療保険制度改革である。オバマ大統領は10年3月に医療保険制度改革法にサインして、通称「オバマケア」と呼ばれる新しい医療保険制度が成立した。オバマケアは国民に保険加入(民間の保険会社が販売する健康保険プラン)を義務付けて、保険料の支払いが困難な低・中所得者層には補助を行って、健康保険の加入率を高めようというもの。先進国で唯一、国民皆保険がないアメリカでは画期的な制度改正であり、オバマ政権の内政における数少ないポイントといってもいい。オバマケアのおかげで約3100万の人が保険に加入できたといわれている。