民主主義発祥のギリシャで起きた衆愚政治

ラテン語の「populus(人民)」を語源とするポピュリズムは、元来、既存の支配層や知識人などによるエリート主義を批判して、一般大衆の願望や不安、不満などの「実感」を重視する政治思想、政治体制のことだ。

民意を尊重するという意味では非常に民主主義的な概念なのだが、人々の欲求不満を煽って支持を集める手法はしばしば衆愚政治を招きやすい。このため現代においては、ポピュリズムは大衆に迎合して人気を得ようとする「大衆迎合主義」というネガティブな意味で使われることが多い。

ポピュリズムから衆愚政治に陥った典型例がベネズエラである。チャベス大統領という極めつきのポピュリストが登場して、「21世紀の社会主義」を掲げ、貧困層向けの無料診療所や無償住宅の建設などバラマキ社会福祉政策を推進した。癌で死んだチャベスの後を継いだ腹心のマドゥーロ大統領も路線を継承した。バラマキの源泉は世界最大の埋蔵量を誇る石油資源である。しかし、1バレル=120ドル以上でなければ成り立たないような国家予算を組んで無駄遣いし続けた結果はどうなったか。1バレル=40ドルからせいぜい50ドル程度まで石油価格が暴落したために石油産業は壊滅、ハイパーインフレに襲われてベネズエラ経済は破綻状態に追い込まれてしまった。