暴言を連発するキワモノ候補に熱狂する人々

今回のアメリカ大統領選挙では、かつてない異変が起きている。最大の波乱要因は共和党の大統領候補であるドナルド・トランプ氏だ。

不動産会社トランプ・オーガナイゼーションの会長兼CEOで“不動産王”と呼ばれるトランプ氏が共和党からの出馬を発表したのは昨年6月。当初から米国内の不法移民1100万人の強制送還を公約に掲げ、「メキシコとの国境に壁をつくる。費用はメキシコに負担させる」「イスラム教徒の全面入国禁止」などと暴言を連発して、熱狂と批判の渦を生み出してきた。しかし、実業家だけに自己宣伝には長けていても、しょせんは政治の素人。「トランプ旋風はそのうち収まって、予備選が始まれば撤退するだろう」というのがプロの政治アナリストの大方の見方だった。