駆け込み寺と化す産業革新機構

シャープの再建支援をめぐって、政府系ファンドの産業革新機構とテリー・ゴウ(郭台銘)会長率いるチャイワン企業、ホンハイ(鴻海精密工業)の綱引きがどうやら終結したらしい。もともとシャープ買収に熱心だったのはホンハイで、積み増しで最終的には7000億円規模の支援策を提示した。一方、シャープの技術流出を懸念する政府の意向を受けて救済に名乗りを上げたのが産業革新機構で、こちらの出資額は3000億円。政府保証付きの産業革新機構の提案に一時は傾いていたが、1月末にテリー・ゴウがシャープ本社に直接乗り込んで現経営陣の続投や雇用維持を訴えたことで流れが一変、取締役会は支援条件で上回るホンハイに決定した。

シャープ本社を訪れた台湾の鴻海精密工業の郭台銘会長(2月5日)。(写真=AFLO)

産業革新機構とホンハイ、シャープは再生のパートナーにどちらを選ぶべきなのか――。少なくとも産業革新機構ではなかったと私は考える。