大陸に進出して勝負したほうが得策

台湾と中国が2013年6月に調印した「サービス貿易協定」の承認をめぐって、協定に反対する学生、活動家、一般市民ら約200人が台湾の国会に当たる立法院になだれ込んで議場を占拠したのは14年3月18日。立法院の周辺でも共感した学生や市民の座り込みが続いた。

中国と台湾間の「サービス貿易協定」に反対する学生たちが、台湾の立法院議場を占拠した。(ロイター/AFLO=写真)

4月に入って立法院院長が、学生らの要求を一部受け入れ、「両岸協議監督条例」(サービス貿易協定の内容と、検討プロセスを国民が監視する仕組み)が法制化されるまで同協定の審議を行わないと表明した。すると、学生たちもこれに応じて退去を決定、一般市民による国会占拠という異常事態は、24日目にして解消されることになった。

一連の騒動の背景にあるのは、もちろん台湾と中国の微妙な関係である。

台湾(中華民国)と中国(中華人民共和国)は今でも、互いを正式な政府として認めていない。

「我こそが中国全土(台湾を含む)を代表する正当政府である」とそれぞれが主張し、ことに「一つの中国」を標榜する中国は、台湾を主権国家として認めることを頑なに拒否してきた。

一方の台湾。中国共産党との内戦で敗れて台湾に逃れた蒋介石率いる「中国国民党」が長らく一党独裁で政権を担ってきたが、1987年に政党の結成が認められてから、国民党に反対する勢力が結集してつくられた「民進党(民主進歩党)」との二大政党制が定着した。二大政党制になってからは、外省人(戦後、中国大陸から台湾に渡ってきた人々とその子孫)の政党である国民党が「大陸融和派」で、本省人(日本統治時代から台湾に住んでいた人々)が支持基盤の民進党は「台湾独立派」という構図で語られることが多い。