クリエーティビティ重視社会の到来と6つの感性の磨き方を提唱、話題を呼んだ『ハイ・コンセプト』から5年。今回の作品のテーマは「やる気!」だ。個人が生き残るための心構えをアドバイスする。
ダニエル・ピンク Daniel H. Pink
1964年生まれ。エール大学ロースクールで法学博士号取得。世界各国の組織を対象に講義を行うかたわら、「 ワシントン・ポスト」などに寄稿。クリントン政権下ではゴア副大統領の首席スピーチライターを務めた。
1964年生まれ。エール大学ロースクールで法学博士号取得。世界各国の組織を対象に講義を行うかたわら、「 ワシントン・ポスト」などに寄稿。クリントン政権下ではゴア副大統領の首席スピーチライターを務めた。
ダニエル・ピンク氏の著作は、少しだけ先の社会の姿を私たちに見せてくれる。『フリーエージェント社会の到来』では、ワーク&ライフスタイルの多様化を、『ハイ・コンセプト』では、共感力やクリエーティビティに長けた右脳型の個人の台頭を説いて、ベストセラーとなった。
最新刊『モチベーション3.0(原題・Drive)』のテーマは、21世紀における“やる気=Drive”の高め方である。『ハイ・コンセプト』で語られた“右脳型社会”を賢く生き抜くための、いわば実践の書といえるだろう。
創造性や自律性が重要になるこれからの社会では、従来のような管理型のマネジメントや、「アメとムチ」といった信賞必罰の「外発的な動機づけ」は役に立たない。
そんな時代に、私たちはどうやって自分自身を駆り立てればいいのか――。科学的な研究結果を引用しながら、解き明かしているのだ。
『ハイ・コンセプト』と『モチベーション3.0』には深い関連があります。『モチベーション3.0』を書いたきっかけは、『ハイ・コンセプト』の読者から「右脳をうまく使うためには、どのようにモチベーションを保つべきですか?」との質問が寄せられたからです。
当時は僕にも答えがわからなかった。でもモチベーションに関して、たくさんの研究が行われていることは知っていたので、それを調べることからはじめたのです。
文献を読んでみて非常に驚きました。行動科学者たちは、世界が私たちがこれまで考えていたのとはまったく違う仕組みで動いていることを指摘していた。彼らは「内発的な動機づけ」の重要性に、とっくに気がついていたのです。
つまり科学者の認識と、旧来のモチベーション論に縛られたビジネスの現場には、大きなギャップがあった。この事実を世に知らせる必要がある、ビジネスは、まことしやかに伝えられる“伝説”ではなく、科学によって運営されるべきだと強く感じたことが、本を書く動機になりました。