株価の大波乱で幕を開けた2016年。投資やビジネスで成功するのはどんな人か。チャンスはどこにあるのか。先が見えない時代の儲け方を、「ヨーロッパの知性」と称される経済学者にぶつけた。

こうすればお金に恵まれる

リーマン・ショックを予見したことで、私を予言者だと言う人がいる。では私が、リーマン・ショックの再来を予感しているとしたらどうだろう。勘違いしてほしくないが、私の目的は予言を的中させることではない。むしろ、そのリスクを無視せず、正面から向き合うことで、惨禍を回避したいのだ。

Jacques Attali(ジャック・アタリ)●経済学者、作家、思想家。1943年、アルジェリア生まれのフランス人。パリ政治学院卒業。81年から90年ミッテラン政権の大統領特別補佐官、91年から93年初代ヨーロッパ復興開発銀行総裁を歴任。

私が知る限りで、世界的な金融危機は、1994年以降、ほぼ7年ごとのサイクルで訪れている。そして、今のところ、その最後は2008年のリーマン・ショックだ。

世界経済はリーマン・ショックから完全に立ち直ったのか。その答えは「ノー」だ。あれ以降、公的債務は激増し、各国の中央銀行のバランスシートは極端に肥大化したままだ。つまり根本的な解決がなされないまま、新たな風船を膨らましたにすぎない。いずれ必ずこの風船ははじけるだろうが、そのことに気づいている人は少数だ。

リーマン・ショックからすでに7年が経過した。次の危機が今日起こるか、明日なのか、それとも2016年になるかはわからない。しかし風船はすでに十分に膨らんでいる。だから経営者は、風船がはじける前に、次の一手を打たなければいけない。

そのためには、今、世界で起こっていることを正確に把握し、長期的な目線で、どの方向に舵を切るべきかを見抜く必要がある。

このような世界情勢にあって、日本のビジネスマンはどのような判断を下すべきなのか。まず私が言いたいのは、「アフリカに目を向けよ」ということだ。

50年に世界がどうなっているかを正確に予測することは困難だ。ただし、間違いないと断言可能なこともある。その一つが人口の推移だ。現在、地球には75億近くの人類が存在し、その半分が都市部に住んでいる。50年には人口は95億人に増え、その3分の2が都市部に居住する。平均寿命は8~10歳延びる。