これまで日本の国政選挙では、人口政策が大きな争点として取り沙汰されることはなかったが、もはや猶予はない。移民受け入れは日本の人口問題を解決するための一つの策だ。
現在、日本国内に住んでいるのは、ほとんど同一の民族のため、まだまだ拒否感はあるだろう。移民を受け入れれば、右翼勢力が反発し、それに同調する人々が力を強め、日本が二分されてしまうのではないかと考えている人もいる。そして「現にフランスもそうなっているではないか」と指摘する。
そうした考え方のすべてが間違っているとは言わない。ただし、問題を引き起こすのは移民自体ではなく、その受け入れ体制だ。厄災を回避するためには、移民の受け入れを拒否するのではなく、どうすれば適切に受け入れを管理することができるか、どうすれば移民とともに社会を築くことができるかを考えなければならない。
日本に住むのなら日本語を話さなければならない。日本の文化に溶け込み、社会に参加しなければならない。それを一方的に押し付けるだけではなく、彼らの後押しになるような施策が必要だ。
住居対策や日本語の習得環境の整備など、知恵を絞るべきことは少なくないが、世界の多くの国が移民を受け入れているのだから、参考にできる例はいくらでもある。米国やフランスばかりではない。シンガポールもまた、移民によって経済が成り立っている国の一つであり、最も成功したケースといえるだろう。過去50年で、最も目覚ましい経済的成功を収めたシンガポールだが、移民を受け入れていなければ、ゼロ同然、何もない国になっていたはずだ。
人口の減少を放置してはならない。それは長期的に見て、国家の自殺と同義だからだ。