今どきどこの病院にも「お断り」の張り紙──。自分たち以外は、実は渡しているのか。医師は受け取っているのか。現役医師が本当のところを暴露する。
「税金がかからないお金は、やっぱデカい」
自身や親族が突然手術に直面したとする。いろいろ初めての体験をすることになるが、その際にいわゆる医師への「心づけ」「つけ届け」は気になる事柄の一つだ。
マニュアルのある話ではないし、今どきどこの病院にも「お断り」の張り紙はある。ネット上のQ&Aサイトでは、「必要でしょうか?」「いくらぐらいでしょうか?」という迷える質問に、「最近はなしでいいんじゃないか」「今どきあるわけないでしょう!」「医者にはかえって迷惑」といったストレートな返答が。
過去の因習なのか。それとも自分たち以外は、実は渡しているのか。医師は受け取っているのか。偉い人はやはり大枚を払っているのか。
「心づけはあるに決まってます」──きっぱりとそう答えるのは、首都圏内の大病院に勤める某内科医だ。
「医者が自分のサイトでよく『貰ってない』だの『突き返してる』だのと書いてますが、少なくとも、私の周囲の医師は上も同僚も後輩も基本的に全員いただいています。私が接してきたのが特殊な人ばかりとは思えないし、彼らとは『税金がかからないお金は、やっぱデカいよね』という会話になります。突き返すような人のほうが特殊ですね」
だから、逆に医師自身が患者として手術を受けた場合は、「九分九厘、現金か商品券を置いていきますよ。私自身が手術を受けたときは15(万円)、かみさんの出産のときも5(万円)置いていった」(同)という。
「もし出さなかったら、仲間内で『ふーん、そういう奴だったのね……』という評価が下される」
別の都内病院の勤務医が言う。
「親しい医師に母のがんを診てもらった際、母に『お菓子だけでいい?』ときかれて、『お菓子の袋に(現金を)一緒に入れとけ』とアドバイスした。その通りにやってましたよ」
もっとも手術後、その医師から母親が「ウチの妻からです」と手渡された菓子の箱の中に、渡した全額が入っていた。ならばとホテルの食事券等々10万円相当を直接自宅に郵送しておいた。「母を叱っておきました」とその勤務医は苦笑する。