がん手術に500万円支払った地主の老女
ちなみに、手渡すのは通常は手術“前”だが、それではやりにくくなるという理由で“後”でないと受け取らない医師もいるという。
「某病院でがんの手術の心づけに500万円払った人がいるときいた。関東某県の地主のおばあちゃんで、1回診てもらうたびに100万ずつ払ってたらしい。もう手術もできない状態だったそうですが」(前出・内科医)
さすがに、そんな人は直接見たことはないという。
「私が民間だから貰っているという面はあります。国公立(病院)だと勤務医は公務員。貰ったら金額にかかわらずクビです。でも、勤務医の給料は安いし、それがあるから働ける。なければ生活が成立しない」(同)
ただ、ここ7~8年、心づけを持ってくる人じたいが激減したという。
「以前は2人に1人は必ず持ってきたけど、最近は10人に1人以下。手術は週に10件前後こなすこともありますが、受取額がゼロの週もあります。金額のトータルは激減しました」
きっかけは不明だが、10年ほど前から「いらない」「払わなくても関係ない」という世間の空気が影響し、病院側もお断りの張り紙で「健全」アピールを始めたという。が、「その張り紙を真に受けて何も持ってこない人には、“恩知らず”という感覚がホンネとしてはありますよ」。
心遣いは今もある。払わずとも支障ナシ……だが、その先は当人が「大人」か否かの分かれ目となる。
(PIXTA=写真)