会社を動かすのは誰か。それはあくまでも、現場の社員だろう。では、社員を動かすのは、どんな経営者だろうか。創業者、大株主、カリスマ。そんなものは空疎なレッテルにすぎない。孫正義氏の何が周囲を心酔させるのか。ソフトバンク幹部たちが初めて明かした──。
――ソフトバンク取締役常務 藤原和彦氏の場合
「よく損したな」謙虚な開き直り
私は事業管理担当として、ITバブル崩壊後の2001年に入社しました。それまでソフトバンクは世界中に投資の手を拡げていたのですが、私は膨大な含み損が発生しており、投資先の整理が必要だと説明しました。オーナー社長が思いを込めて手がけた案件に対し、「やめるべきだ」と提言するわけですから、どういう反応になるか正直不安でした。
ソフトバンク取締役常務 藤原和彦氏
孫社長は資料をじっと見て、「よくここまで損したな」と言われました。びっくりしましたね。事実を謙虚に受け止め、自分の意思決定をあらためるべきだと素直に認める。過去の失敗にとらわれず、常に未来を見ている人だと感じました。
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