「下町」を小バカにする人は富裕層になれない

しかしながら、種銭を貯めるために住環境の見直しをするという話をすると、「高収入貧乏の谷**」にはまり込んでいる人たちはこんな反論をすると思います。

**年収1200万~3000万の高収入世帯でありながら、生活コストが多く、貯金ができない家庭

「足立区は毎日犯罪が起こっていて環境が悪いから、生活コストが安くても子供の住む場所としてふさわしくない」

実際、足立区が「防犯ボランティアフォーラム2011」で発表している、「他区から見た足立区のイメージ」は次のようなものです。

・スウェット・ジャージで出歩いている人が多い。
・若者がコンビニの前でたむろしている。
・ニュースで流れる事件発生場所で、足立区の名前をよく聞く。
・自分は大田区(田園調布)に住んでいるが、足立区は治安が悪いと思う。
・足立ナンバーの車は、怖い人が乗っていたり、車高が低かったりするものが多い。

本当にそうでしょうか。「足立区は住むには適さない」という反論の根っこにあるのは、単なる競争的消費の生活からのダウングレードを「都落ち」と考えるちっぽけなプライドによる偏見ではないかと私は考えています。なぜ、そう断言できるのか。

警視庁の自治体別刑法犯発生件数を元に人口1000人あたりの平成26年の犯罪発生件数を計算するとトップ5は次の通りです。

千代田区 66.34 
渋谷区  27.86
新宿区  25.42
台東区  23.20
豊島区  22.48

そして、問題の足立区は11.27とトップの千代田区の人口1000人あたりの犯罪発生件数の約6分の1に過ぎず、23区内でランキング15位とむしろ犯罪が少ないほうから数えたほうがいいくらいです。

これらの区の平均年収と23区でのランキングは次の通りです。

千代田区 779万円(2位)
渋谷区  685万円(3位)
新宿区  479万円(8位)
台東区  382万円(16位)
豊島区  407万円(11位)

これを見ても、年収の高低と人口1000人あたりの犯罪発生件数には明確な関連性は見いだせません。