お正月のバーゲンセールが始まった。福袋や初売りの割引品は確かにお得だろうが、ちょっと待て。ふだんは購入するモノを厳選しているのに、なぜ人はしばしば衝動買いに走ってしまうのか。その心理メカニズムは何か。FPの筆者が分析する。

なぜ、あなたは物欲に敗北するのか?

「need(必要)とwant(欲しい)を区別して、買い物をしよう」

家計管理の心得としてよくいわれる言われるセリフです。このセリフ、私もはじめて聞いたときは、「うまいこと言うもんだ」と思いましたが、最近少し見方が変わりました。

このセリフ、意外と核心をついていない気がしないでもありません。抜け穴があるのです。

冒頭の言葉は、needはよしとして、wantはダメな買い物として語られることが多いです。欲しいものばかりを買っていたらキリがないですから、確かに至極もっともな話に聞こえます。

とはいえ、正直に言えば欲しいものはやっぱり欲しいと思うんです。私も欲しいものがあれば買います。買えば気持ちは満たされますし、人生に潤いを感じることもあります。本当に心から欲しいものは、生活を豊かにする上で大切でしょう。

ただし、そこに問題がないとは言いません。

もし、自分に「足るを知る」節度が備わっていないと、欲求は際限なくなり、いくらお金があっても足りません。当たり前な話、欲は無限で、お金は有限です。そもそも合致しません。

冒頭の言葉は、「need」なものは買ってもよいが、「want」なものは我慢しましょう、という戒めです。

私が疑問に思うのは、「want」が悪者扱いされてしまうのはしかたないにしても、「need」なものは買ってよいという論理は本当に「善」なのかということです。最近はむしろ、「need」は意外とくせ者で、むしろ「悪」の要素も含まれているのではないかと感じるのです。