●高橋家(仮名)
[夫]42歳 IT企業エンジニア[妻]37歳 専業主婦[子ども]7歳 公立小1年・10歳 公立小4年[住まい]持ち家(ローン返済)
[年収]780万円(額面)[手取り]月収38万円[ボーナス]164万円

5年前3800万円で家を購入した高橋さん。2%10年固定金利で3500万のローンを組んだ。月々の支払いは8万と低めなのは、60万のボーナス払いに頼っているから。自分たちの死亡保険に加え、子どもたちの学資保険などで保険料は月4万円。特に贅沢はしていないのに、毎月赤字になってしまうのが腑に落ちない。

【BEFORE】年間貯蓄:34万円

(1)そろばん、英語塾、習字の稽古代2人分ともなると、4万に。私学受験のために上の子は今後塾に通わせたい。
(2)子ども1人ずつに月1万円の学資保険。夫婦の死亡保障と医療保険で、合わせて4万に膨れ上がっている。
(3)夏・冬のボーナスでそれぞれ30万ずつ支払い。おかげで月の支払いは少なめに済んでいる。
(4)ボーナスが出ると、家族でデパートで服を購入したり、いつもより多く外食したりと、気持ちが大きくなりなんとなく20万が消えている。
(5)毎月2万5000円の赤字をボーナスから補てんしており、年間30万に。

▼ありがちムダ出費:本物志向のおしゃれ外食
本物志向が強く、ファミレスよりはきちんとしたレストランでの食事を好む傾向のあるこの収入層。家族でディナー外食をして、夫婦でワインの乾杯もすれば1回の食事が2万以上に。

◎家計のプロ 藤川太さんのアドバイス

年収700万を超えると生活に少しゆとりがある気分になる。建て売りの小さな一軒家を購入し、特別な贅沢もせずにつましく暮らしているつもり。その「つもり」がこの収入層の足を引っ張る。“普通の暮らし”は、裏を返せば食費も教育費も小遣いもすべてが締まりのない慢性メタボ家計。本来ならどこかが出たらどこかを凹ませるべきだが、節約意識が欠如しているのが問題だ。

まずは、住宅ローン、保険料などの固定費を減らす。さらに、食費や水道光熱費の変動費も毎月目を通し、目安に近づける努力を。発泡酒より本物のビール、おしゃれレストランで外食……そんなちょっとしたこだわりを捨てれば、月1万円の食費はすぐ浮く。

デパートで買っている服をファストファッションに切り替える。見ないテレビ、いない部屋の電気や冷暖房は消す。年収が上がる前には当たり前だったこうした節約意識の欠如が、毎月の赤字を引き起こしていることを認識したい。

しかも、この年収層になると一流私学出身者も多く、子どもも私立中高に入れるのを当たり前だと思う傾向にある。年収アップが期待できないご時世、妻も働いて学費を捻出する覚悟が必要だ。