●栗山家(仮名)
[夫]35歳 印刷会社営業[妻]36歳 専業主婦[子ども]9歳 公立小3年[住まい]賃貸マンション
[年収]570万円(額面)[手取り]月収30万円[ボーナス]110万円

2LDK賃貸マンションに住む栗山さん一家。そろそろ家購入を視野に入れて、頭金分を貯蓄したい。都内の妻の実家から2世帯同居の話も出ているが、夫は同居に躊躇。子どもはピアノとスイミングに通っており、長期休暇には塾の講習やアウトドア合宿に参加。さらにバレエも習いたいというが、高額の発表会費用に決断できず。

【BEFORE】年間貯蓄:33万円

(1)年収の24%にあたる。駅からは徒歩10分以内で、食洗機付きのキッチンが気に入って決めた。
(2)ピアノとスイミングのレッスン費。さらに年に1度の発表会や夏期講習、アウトドア合宿費用などをボーナスから捻出している。
(3)営業職のため飲み会など交際費のあふれ、小遣いでは収まらない分や日々の細かな使途不明金がかさみ、毎月赤字。ボーナスからの補てん分が年間18万に。
(4)趣味は多くないが、ボーナスが出ると最新パソコンや一眼レフカメラなどを買ってしまう。
(5)普段は自分の服を買わずに我慢している妻。ボーナスのときに服や靴、化粧品をまとめて購入。

▼ありがちムダ出費:不相応に高い家購入
食費は10円の差にもこだわるのに、家購入となると100万の差も気にならなくなってしまう。住居一点豪華主義で払いきれない高い家を購入し、破産することも。

◎家計のプロ 藤川太さんのアドバイス

「家を持てば一人前」。親からずっと言われてきた持ち家呪縛。しかし、現在の家賃程度に月々のローンを抑えようとすると、3000万以内の物件が相応だが、都内でこの価格では家族で満足に住める物件は少ないのが現実。家を持つことへの夢が強すぎて、つい実力以上の家を買ってしまう住居一点豪華主義はこの収入層に多い失敗で、のちにローンが支払えずに家を手放すこともある。

まずは日頃の生活で、十分な頭金を貯められるだけのやりくり力をつけることが重要。貯める力は、支払う力につながるのだ。

持ち家の夢を叶えるまでは、たとえ遠く狭くても年収の20%以内に住居関連費を抑えたい。ボーナスの大半は貯蓄し、日頃節約に励む妻への感謝の小遣い程度は残すが、自分は我慢。貯蓄目標は年間100万円。

さらに今後のしかかるのが、子どもの教育費。教育と家の両方を手に入れるならば、妻も働き年間100万以上収入を増やすか、親の援助を得るかの選択。手っ取り早いのは2世帯同居。“金を出せば口も出す”義父母の言葉も笑顔で流せれば、念願の書斎で1人時間を満喫だ。