●広田家(仮名)
[夫]32歳 製造業[妻]30歳 専業主婦[子ども]1歳[住まい]賃貸UR住宅
[年収]370万円(額面)[手取り]月収25万円[ボーナス]12万円

都内のUR賃貸に住み、家賃を抑えて節約に励む広田さん一家。不況の影響を受け、ボーナスは出るものの奨励金程度。孫の顔を見せに岡山の実家に帰るのも交通費が高くて年に1度が限界だ。保険は、夫の定期の死亡保険と医療保険。妻は、複数のスーパーマーケットを使いこなし、日々の食費を抑える努力家。

【BEFORE】年間貯蓄:19万円

(1)チラシを見比べ、お買い得日を狙う。通うのは、業務用スーパー。1週間分6000円。夫も愛妻弁当と水筒を毎日持参。
(2)子どもが生まれる前から住んでいた1LDKのまま。少々手狭に感じてきている。
(3)自宅で子どもを見ているため保育料はかからないが、今後は英語教室など親子で一緒にできる習い事を始めたい。
(4)夫の死亡保障は非喫煙健康体タイプの収入保障保険と最低限の医療保障のみ。妻は医療保険のみ。将来に向けて、子どもの学資保険を検討中。
(5)岡山の実家帰省に交通費や手みやげ代など合わせて約6万。年に1度のディズニーランド旅行に4万出費。

▼ありがちムダ出費:レジャー施設豪華旅行
この収入層に多いのが、ディズニーランドなど欧米系レジャー施設への強い憧れ。日々の節約の反動か、高級ホテルに泊まり、お土産やグッズも大量に購入してしまう。

◎家計のプロ 藤川太さんのアドバイス

初めての子育てを夫婦で協力し、狭いわが家ながらも幸せな日々を送る広田さん。妻は毎日家計簿をつけ、各スーパーの特売日を把握し、週6000円の食費のやりくりもゲーム感覚。水道の出しっ放し、電気のつけっぱなしはもってのほかだ。この年収層の家庭にとっては、日々当たり前の節約。この染み付いた節約意識が、何より今後の強みになる。

ただし、気をつけたいのは極度の切り詰めとその反動。夫婦2人で食費が月2万円を切るようだと、栄養バランスが悪い食生活に陥っている可能性があるので、広田さんの3万円はギリギリのライン。足を引っ張るのは、ディズニーランドなどへの強い憧れ。このときばかりは1泊2日で7万使うことにためらわない人が多いのがこの収入層の傾向。せっかく積み上げてきた節約も一晩で泡と消えてしまう。週末は、公園や公共施設で出費をセーブしたいところ。

子どもの教育費がかからない今こそ貯めどき。職場から少し遠くなっても住居費を抑え、日々の節約をもう一歩引き締めることで貯金は年間で45万アップ。この節約意識さえ身についていれば、今後収入が上がったときに貯金を一気に増やすバネになってくれる。