●梶原家(仮名)
[夫]48歳 大手メーカー営業部長[妻]48歳 専業主婦[子ども]14歳 私立中2年・17歳 私立高2年[住まい]持ち家(ローン返済)
[年収]1200万円(額面)[手取り]月収50万円[ボーナス]285万円

営業部長として今も第一線で活躍し、後輩指導にも励む梶原さん。難しい年頃の子ども2人との会話は減ったが、それぞれ私立で学校生活を謳歌している様子。夜は飲み会、週末はゴルフと接待に忙しいため、家のことは妻任せ。リーマンショック以降不況のあおりを受けて、年収が150万減ったことが最近のストレス。

【BEFORE】年間貯蓄:-20万円

(1)有機野菜と生協の宅配を併用し、月4万以上かかっているが使い切れず腐らせがち。家族での外食や友人を招いてデリバリーを取ることも多い。
(2)子どもの塾代が月々3万ずつ。2人とも私立に通っているが、学校の授業についていくために補習塾に通っている。
(3)接待ゴルフが月に2回程度。後輩と飲みにいけば管理職として毎回おごっているため、大半は交際費に消える。
(4)施設費、寄付金、研修費、PTA会費など私立の出費は何かと多い。授業料は年2回払いでボーナスから捻出。年間1人100万程度。
(5)子どもの教育費、月々の赤字補てんがのしかかり、ボーナスだけではまかないきれない。貯蓄から20万を切り崩して乗り切っている。

▼ありがちムダ出費:コレクターズアイテム
バブルも経験し、「どうせ買うならいいものを」とモノにこだわりがち。電車模型やプレミア付きアイテムなど収集好きで、ちょこちょこ買い足しが大きな出費に。

◎家計のプロ 藤川太さんのアドバイス

管理職ポジションになっているこの収入層は、不況で給与カットが直撃したうえに、子どもは教育費のかかる年頃。家のローンもまだ抱えている。中学から大学までは、教育費が最大限にかかる時期だと覚悟し、それまでの生活レベルを落とす必要がある。

順調に昇進したがゆえ給与カットに被害者意識を強く持つ一方、同じ給与で海外旅行や外車購入と、なぜか羽振りのいい同僚へのねたみも。この層は親が裕福な世帯も多く孫の教育費を出してもらえるかどうかで家計に差がつく。

親の支援が得られない家庭は小遣いを減らし、旅行は近場で済ませ、赤字をつくらない生活を心がけるしかない。「持ち家、自家用車、子どもの教育、専業主婦」の4つを同時に満たすのは今や富の象徴。この年収層でもすべてを得ることは厳しい。一般的には教育>持ち家>専業主婦>車の優先順位だが、家庭によって異なる。どれかを取捨選択しなければ貯蓄を切り崩し、老後資金も尽きる結果に。

子どもたちは、もう一緒に旅行するより友達と遊びに行きたい年頃。離ればなれの家族の心をつなぐのは、お金より絆だと自分に言い聞かせ、65歳までコツコツ働くしかないのだ。