リストラの対象者の明確な基準など、人事部のホンネを徹底的に洗いだした溝上憲文さんの最新刊『人事評価の裏ルール』へ解説文を寄せたのは、リストラ候補から一念発起して、社内起業での功績が認められ、シチズン時計株式会社で史上最年少の上級顧問に就任した経験を持つ俣野成敏さん。目先の評価に踊らされることなく、ハイパフォーマンスで会社に貢献し続けるために意識するべきこととは?
「上司」というみこしは担ぐしかない
年齢にこだわっている時点で、ビジネスマンとして「古い」。年下の上司を嫌っていたら、多分その上司も使いにくいと思うはずです。
そもそも、上司と部下ではありますが、「一緒に働く」というのはどういう意味があるのか? それは、自分にないものを持っている人の力を使って成果を上げるということ。
年上ではなく、年下であるからこそ伸びしろがある。年下というのは、年齢的にもこれから自分よりも長い期間働いていくので、その上司にうまくパートナーだと認識を持ってもらえたら、自分も伸びていく。
自分自身が定年退職したときに、まだその上司はバリバリ仕事をしているはず。だとしたら、そこで何か一緒にまた仕事をできるチャンスも生まれてくるので、好きとか嫌いとか言っているようではダメだと思います。
その年下の上司のもとで何ができるのかを考えたら、自分の今までのビジネススキルの棚卸しにもなります。自分が年上ということは、その会社・業界にいる期間が長いので、その年下の上司が持ってないものを自分が持っている可能性が高い。
例えば、年下の上司には見えていない業界の常識、ボタンの押し所という観点からサポートしていく。「私だったらこういうことできる、うまく使ってください」というように。
うまく使ってくださいというのが、年下の上司も心が動くいいフレーズになります。私もサラリーマン時代に年上の部下から、「私は今までこういうことをやってきました、うまく使ってください」と声をかけられたときには、ちょっとしびれました。「あなたを男にしたい」みたいな伝え方です。
「上司」というみこしは担ぐしかありません。組織にいる以上は、かつぎ方にコツがある、という話でしかないのです。
※本連載は書籍『人事評価の裏ルール』、解説からの抜粋です。
1993年、シチズン時計株式会社入社。リストラ候補から一念発起。社内起業での功績が認められ、33歳でグループ約130社の現役最年少の役員に抜擢、さらには40歳で本社召喚、史上最年少の上級顧問に就任する。この体験をもとにした『プロフェッショナルサラリーマン』を筆頭に、これまでの著作の累計は26万部を超える。2012年独立。複数の事業経営や投資活動の傍ら、私塾『プロ研』を創設してプロフェッショナルサラリーマンの育成にも力を注いでいる。
※俣野成敏オフィシャルサイト http://www.matano.asia/