『ラグビー日本代表ヘッドコーチ エディー・ジョーンズとの対話』
生島淳著・文藝春秋刊
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9月19日(日本時間20日深夜)、ラグビーワールドカップ2015で世界第3位の南アフリカチームを破るという大金星を挙げた日本代表。1次リーグで3勝を挙げながらも決勝へ進むことができないという残念な結果でしたが、サモア戦、アメリカ戦を見た人たちは「南ア戦はまぐれじゃない。ラグビー日本代表の強さはホンモノだ」と確信したのではないでしょうか。

ラグビー弱小国だった日本で、代表チームを3年間でここまで育て上げた人物が、エディ・ジョーンズヘッドコーチです。日本チームを世界レベルに引き上げるために、彼がどんな指導をしたのか、気になる人は多いはず。

「コーチングはアート」「セールスマンになれれば、凡庸なコーチから脱出できる」と語るジョーンズ氏。『ラグビー日本代表ヘッドコーチ エディー・ジョーンズとの対話』には、エディ・ジョーンズ氏がどのように日本代表チームを指導してきたか、その過程が詳しく描かれています。

目的は「勝てるチームを作ること」。そのためにジョーンズ氏は、コーチング、トレーニング、教育、選手への接し方、叱り方、若手を抜擢するポイントなど、あらゆることを非常にロジカルに考え、実行に移しています。「精神性や伝統を重んじて科学的な発想が不足している」「上意下達の命令形で、指導者に何か言われれば『はい』と従順に答えるが実は分かっていない」など、日本人の弱いところを知り尽くしている彼の発言は、正論なゆえに耳が痛い人も多いのでは。

“弱小組織が世界で戦って勝つ”ためには何が必要なのか? その思考法を教えてくれる本書は、スポーツの指導者に限らず、経営者やビジネスマンにも大きなヒントを与えてくれます。

筆者はノンフィクションライターの生島淳氏。次ページでは、本書の担当編集者、文藝春秋社の藤森三奈さんにこの本について語っていただきます。