どうしても助言しづらい状況で、いかに話すか。中国古典と講談の世界から、「常識外れ」の切り口をご紹介しよう。
Q4 ダメ上司の下にいて大丈夫か
【守屋さんの答え】

本当にその上司は「ダメ」なのか。まずはそこから考えたほうがいいと思います。中世の中国の兵法書『三十六計』の第二十七計には「仮痴不癲(かちふてん)」という言葉が書かれています。愚かなふりをして冷静に相手の隙をうかがうという戦術です。かつて日本には、この戦術を実行していた人物がいました。

加賀藩二代目藩主の前田利常は、鼻毛を異様に伸ばすという奇行がありました。家臣たちは鼻毛抜きを届けるなど、何度もたしなめようとしましたが、あるとき利常は家臣たちを集めてこう切り出したといいます。