「エリートコースを歩めるのはごく一部の人だけ。逆にいえば、ビジネスマンの多くは非主流派(部署)に属しているといえます。そして、そんな傍流の上司には“ついていってはいけない人”が少なくないのも事実ですね」
とは、メガバンク出身で上場投資会社の取締役・緒方健介氏だ。
元商社マンで世田谷ビジネス塾長の古川裕倫氏に言わせれば、そうしたパッとしない上司は、「イヤな上司、アホな上司よりタチが悪い、バカな上司であることが多い」ということになる。
例えば、会社立ち上げ時は社員数がごくわずかだったものの、急成長を果たし上場したのをきっかけにやる気と実力のある大卒新入社員が大量に入ってくるような人気企業になった場合。特に、デキるわけではない凡庸な人にもかかわらず、発足時からの社員だからという理由で部長の肩書を持つケースもある。それでも上司は上司。その課(部署)の中では、プチ権力者だ。
部下としてはどう賢く立ち回ればいいのか。部下の願いは、「有能とは言えない上司とともに没落しないようにすること、そして傍流からなんとか抜け出すこと」(緒方氏)だろう。
そのために懸命に働くのは当然だが、大変なのは上司に対する苛立ちをどう軽減し、また、その上司からいかに高い評価をしてもらうように悪知恵を働かせればいいかということだ。いわば、「奸智」の力によって上司を上手に味方につけられれば視界は開けるに違いない。
逆に、上司のやり方・考え方にことごとく反抗するような日常になれば、さらに左遷され、一生浮かばれない泥沼にはまる事態を招きかねない。よって、傍流に配属されたら「恵まれない上司に恵まれたと開き直って、上司を反面教師にして日々修業するしかない」(古川氏)。
たとえ有能な上司でも、人は「なくて七癖」という。臨機応変に上司をさばかないといけないのだ。