8. 廊下とんびになる
油を売って「味方」を増やす

直属の上司がやや心もとない存在であれば、「保険」が必要だろう。

例えば、「上司の上司」と接触して、パイプをつくっておくというような。

直属の上司と意見の衝突などで大ゲンカをしてしまったら、立場が弱いのは部下である。そんなとき孤立無援ではしょせん勝ち目はないのだ。

「そのために日々、廊下とんびになって人脈を築いておくのです」

と古川氏。廊下とんびとは、そもそも用もないのに廊下をうろつき回るような人のこと。あまり推奨できる行動ではないと思いきや、さにあらず。経理部、法務部など他部署への連絡が必要なとき、内線電話やメールなどですまさずにたまには足を運んでみる。そして、ただ用件をすませるだけでなく、時には専門知識をもらったり、自分の部署の状況を教えたりして情報交換しておくのだ。

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人脈づくりはセーフティーネット

「フェース・トゥ・フェースでコミュニケーションすると信頼関係も厚くなります。いい意味で油を売って社内ネットワークをつくるのとつくらないのとでは、イザというときの協力体制が全く異なります」(古川氏)

同じようなスタンスで、上司の上司や、隣の課の上司たちともふだんから交流しておき、自分の考えを伝えたりあたためている企画を相談したりするといい。直属の上司とトラブルになったとき、事情を知った“上の上”や“隣の上司”が間接的に援護してくれる可能性があるからだ。

一方、緒方氏も「飲み会やゴルフなどで上司以外の実力者と接点を持つべき」と語る。自分で勉強会のような集まりを立ち上げ、そこに特別講師として“上の上”を招くような作戦も効果があるという。“上の上”くらいのベテラン世代は、部下に話したいことも山のようにある。「俺でいいのか?」と謙遜しつつ、喜んで参加してくれるというのだ。「30代の頃、どんな本を読みましたか?」といったアプローチも悪くないという。

緒方健介
大手都市銀行や、元マイクロソフト日本代表の成毛眞氏率いるインスパイアなどを経て現在、上場投資会社Oakキャピタル取締役。

 
古川裕倫
三井物産に23年勤務後、ホリプロ取締役執行役員。2007年、経営コンサルティングなどを手がける自身の会社・多久案を設立。

(堀 隆弘=撮影 AFLO=写真)
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