部下にバカにされていないか? 上司の覚えはめでたいか? この業者を信頼しても大丈夫か? 先方の本当の予算はいくらか――。相手の心を読み解くスキルを、世界三大コンサルティングファームで研鑽を積んだトップビジネスマンが公開。「上司・部下篇」「顧客・取引先篇」と、相手別、状況別にお届けする。
アドバンテッジ リスク マネジメント社長 鳥越慎二氏

◎上司・部下篇「味方をつくる、査定が上がる」賢い対応【1】

ビジネスを円滑に進めるうえで重要なのは相手の「感情」をうまく取り扱うこと。社内の人間関係もしかりだ。

「最近はとみにロジックや戦略の重要性が強調されますが、仕事相手の感情や精神状態を読み取って適切に対応できるかどうかも同じくらい重要なスキルです。だから、頭がとてもきれて優秀でも、相手の感情を斟酌しない人は、その人のもとでは人が動かず、仕事が進まないということが起こってしまうのです」

そう語るのは経営コンサルタント会社のベイン・アンド・カンパニー(以下ベイン)出身で、現在は企業に対してメンタルヘルスケアをはじめとする人事関連ソリューションを提供するアドバンテッジリスク マネジメント社長の鳥越慎二氏。

投資会社インテグラルのパートナーを務める辺見芳弘氏は、「彼女を口説くためには、一生懸命、相手の気持ちを想像したり考えたりするのに、上司や部下に対しては、そこの部分をろくに考えない人が多いですね」と指摘する。アディダスジャパンや東ハトの経営再建の実績を持つ辺見氏は、ボストン・コンサルティング・グループ(以下、BCG)出身。異なる企業文化で働く社員のモチベーションを上げ、組織をまとめあげてきた経営のプロフェッショナルだ。

Vault.comというアメリカのサイトで、2013年度コンサルティング会社ランキングのトップスリーに輝いたベイン、マッキンゼー・アンド・カンパニー(以下マッキンゼー)、BCG。今回、この3社で戦略的、論理的な思考力を培い、「卒業」後は、ロジックだけでは通用しない実業の世界でもトップとして活躍している方々に話をうかがった。幅広い見識と実力を併せ持つ最強のプロフェッショナルビジネスマンは、「敵」の心理をどのように見抜き、分類し、どうやって操縦しているのか。7つのテーマをぶつけて、実体験を踏まえた知見を聞き出すことにしよう。