この部下はやる気があるのか? →回答のスピードを見る
営業ノルマがなく、成果給もなく、基本的に年功序列の公務員。民間企業に比べると「やる気」を出しにくい環境だが、志が高くて真面目な人は必ず存在する。当然、彼らを抜擢することが組織の活性化には欠かせない。柏市長の秋山氏は、やる気のあるなしを、2つのポイントを参考にして判断するという。
(1)目つき。文学的な表現になるが、目が生き生きしている。
(2)回答、対応の早さ。ちょっと打ち合わせをして、「こうじゃないよ、ああだよ」などと言ったときの回答が早く、その後の対応も迅速である。
難しいのは実はやる気があるのに表情が乏しい「くすぶっている系」の人たちである。
「仕事に対する真面目さ、内に秘めた使命感など、少しでもポテンシャルが見えれば、こちらからきちんとコミュニケーションします。何回も話しかけられたり、早い返信メールをもらえば、『ちゃんと見られてるんだな』って思いますよね。悪い気はしないでしょう」
自分のほうからコミュニケーションを密にして相手のやる気を発掘するというテクニックだ。「たくさんの人がいるけどあなたの意見はすごく参考にしてましたよ」「あなたのセンスはすごく大事だと思ってますよ」というこちらの気持ちが伝われば、今までずっと注目されてこなかった人の目が輝き出すことがある。
こちらから先に承認することによって部下のやる気を引き出す効果には、冷静沈着な辺見氏も強く同意する。
「どんな人でも自分がやったことがうまくいき、それが目に見えた成果になって周りから評価が得られれば、仕事がおもしろくなります。評価する場を提供してあげることが大切です」
日本企業は現場に優秀な人が多いことで定評がある。やる気さえ持ってくれれば成果は挙げやすい。特に効果的なのが個人に光が当たりにくい工場などの生産現場だ。まず、個人のアイデアをプレゼンテーションする機会を設けたり、表彰制度をつくったりする。また、リーダーが小まめに現場を見にいくことも必要だ。「がんばってるねと声をかける。現場の社員からすれば社長が来てくれたっていうのは、まんざらでもないでしょう」
会社全体のやる気をチェックして底上げする鍵も現場にある。辺見氏のやり方は、部下に権限移譲したうえで「部下の部下、その先の部下の様子を見る」だ。
「もし営業部長という立場ならば、若い担当者と一緒にバイヤーの商談に同席させてもらうといい。すると、若い担当者の悩みが生でわかります」
神は細部に宿る。職場全体を覆う後ろ向きな空気の原因も、最も弱いところに顕著に表れる。一流のリーダーはそこに着目して、いち早く改善するのだ。