インテグラル パートナー 辺見芳弘氏

幼少の頃より海外生活の長い辺見氏は、日米欧の企業で責任ある立場で働いてきた自身の経験を踏まえて、「ストレスは成長に必要だ」と指摘する。

「小6でアメリカの学校に転校したときなど、まったく言葉の通じない環境は相当のストレスだったと思います。でも、今まで死なないで何とかきているし、ストレスがあったから得ているものもある。人間が成長する源泉は、自分の現状が本来のあるべき姿とずれていると感じて、修正しようと伸びていくことです」

単純に考えても、苦手な作業を克服して上手になれば本人はそれだけビジネスマンとして強くなる。ストレスがかかったときの受けとめ方がポジティブかネガティブかが問題なのだ。仕事上の様々なストレスを前向きに受け止めるよう部下を誘導するにはどうすればいいのか。

「僕はまず仕事を任せます。通常、お菓子の新商品は社長が味見をして承認しますが、(東ハト社長時代の)僕は味見をしなかった。ターゲットがティーンエージャーのお菓子を僕が試食したってしょうがないから(笑)。その代わり『もしうまくいかなかったら、原因を考えて次に生かすように』と伝えました。任されることや失敗からの学びによる“ポジティブなストレス”を感じて、成長してもらいたいからです」

商品開発だけでなく、さらに大きな仕事も、いずれは辺見氏が関知せずに部下だけでやれる姿が理想だという。

「そのときも、『すぐには無理だろうからこの部分だけは僕が気にするけど、こっちはがんばって』という言い方をすることで、本人の成長につながるようにコミュニケーションをします」

上司との間に信頼関係さえあれば、ストレスの受け止め方も違ってくるのだ。

アドバンテッジ リスク マネジメント社長 鳥越 慎二(とりごえ・しんじ)
1962年生まれ。東京大学経済学部卒業後、86年ベイン・アンド・カンパニー入社。ノースウエスタン大学にてMBA取得。アドバンテッジ インシュアランス サービス社長などを経て、99年より現職。著書に『就業不能―「働けないリスク」に企業はどう向き合うか』。

柏市長 秋山 浩保
(あきやま・ひろやす)
1968年生まれ。筑波大学第三学群国際関係学類卒業後、ベイン・アンド・カンパニー入社。フォーシーズ常務を務めた後、経営コンサルタントとして様々な会社の役員を歴任。2009年より現職。

インテグラル パートナー 辺見 芳弘
(へんみ・よしひろ)
1957年生まれ。慶應大学商学部卒業後、ハーバード大学MBA取得。90年BCG入社。BCGパートナー、アディダスジャパン副社長、東ハト社長を歴任、2007年より現職。著書に『「擦り合わせ」思考力』。
(的野弘路、関根統=撮影 PIXTA=写真)
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