みんなを好きになることは最善の策ではない
無能な上司や仕事のできない同僚については誰もが愚痴をこぼすが、癇に障る部下についてはどうだろう。その振る舞いがパフォーマンスの問題なら、それに対処する直接的な方法がある。だが、人間関係の問題である場合は、どうするか。昼食をともにするのも嫌だと思う相手に対して公正な上司であることは可能なのか。それとも、上司たる者、自分のチームのすべてのメンバーを好きにならなくてはいけないのか。
もちろん、チームのみんなを好きになれば、上司の仕事はずいぶんたやすくなるだろう。だが、それは上司本人にとってもチームや会社にとっても必ずしも最善の状態ではない。「人々が互いを好きになることは、組織の成功にとって必要な要素ではない」と、組織心理学者で、『The Blame Game』の著者、ベン・ダットナーは言う。スタンフォード大学の経営科学・経営工学教授で、『Good Boss, Bad Boss』(邦訳『マル上司、バツ上司』)や『Scaling Up Excellence』(ハギー・ラオとの共著)などの著書があるロバート・サットンも同じ考えだ。サットンによれば、「人が人を好きになる要因と、チームをうまく機能させる要因はまったく別で、2つのリストの中身はずいぶん違う」。自宅でのバーベキューに招きたいと思う者だけで構成されるチームを築くのは不可能だし、理想的ですらない。
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