評価に偏見を持ち込んではならない

癇に障る部下がいるときは、評価や報酬決定のプロセスに自分の偏見を持ち込まないようとくに注意する必要がある。「私はこの部下に他の部下に使っているのと同じ基準を使っているか?」と自問することを、ダットナーは勧める。公正に評価するのは難しいと思ったら、その部下の仕事ぶりをよく知っている他のマネジャーに助言を求めるとよいと、サットンは言う。自分の評価が部外者の評価と一致しているかどうかについて、率直なフィードバックを求めよう。

わざと反対の立場をとって、その部下の長所を主張してくれと頼んでもよいだろう。「リーダーシップは単独プレーとみなされているが、それは誤りで、むしろチーム・プレーなのだ」と、サットンは言う。

これは一番聞きたくないアドバイスかもしれないが、問題の部下とかかわる時間を増やすことは有効かもしれない。劇薬はときに最も効果的な治療になる。サットンは難しい仕事での協働は一体感を築く傾向があるという研究結果を引証している。「緊密に協力していれば、やがて問題の部下を高く評価するようになるかもしれない」と、彼は言う。自分の部署が担当している最も厳しいプロジェクトに彼を配置することや、重要なプロジェクトで自分の右腕として働いてくれと彼に頼むことを検討してみよう。一番大切なのは、先入観を持たないようにすることだ。

「今日お気に入りの部下が明日は一番嫌いな部下になるかもしれない。今好きな人間が明日は信用できなくなるかもしれない」と、ダットナーは言う。

(ディプロマット=翻訳 Getty Images=写真)
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