6. 実績以下にアピールする
DaiGoとマギー司郎に学ぶ

「実績以上に自分をアピールしようとする部下は多いですが、意識的に実績以下にとどめる部下のほうが上司の印象はよくなると思いますね」と語る古川氏だが、そんな“押し”の弱さで競争社会を生き残れるのか。

古川氏によれば、実績以下アピールの理想像はマジシャンのマギー司郎だという。颯爽とスマートなマジシャンが多いなか、マギー司郎はたいてい舞台にヨタヨタした感じで現れて、「僕の人生終わっている」「上手に手品できる自信がない」などと自信なさげにトークしつつ、最初に簡単な手品をわざと失敗する。しかしその後に、一転鮮やかな技を決めるのがお約束だ。

「『僕の人生終わっている』と自分を“下げ”て、手品も失敗して観客の期待値をぐっと下げるわけですね。そんな自己開示によって観客は親しみを感じます。そうやってマジシャンと観客の心理的な距離を縮めたうえで、技を披露すると『おぉ』となる。それほど高度な技ではないのに向こうの世界に引き込まれているから、観客は拍手喝采するのです。この例に倣って、ビジネスマンも虚勢を張らず、大事なときに戦力となるタイプが上司のお気に入りとなることも多いのです」(古川氏)

また、メンタリストのDaiGoからも上司対応術を学べるかもしれない。それは刷り込みのような技だ。


人間の感情を読み取るマジシャンの技を盗め(AFLO=写真)

「斬新なプランを思いついて、それを上司に売り込みたいとき、突然、1から10まで説明して『どう思いますか?』と聞いても拒絶されるだけ。最初は何かの用件のついでに『実は私、こんなことを考えていまして』と概要をちょっとだけ説明して、日にちを置いてから、『この前、お話しした件ですが』と、またちょっとプレゼン。そうやって少しずつ“刷り込む”と、頭の固い上司も話に乗ってくれやすくなります」(古川氏)

観客を読心術や心理学などで操っているといわれるDaiGoのように上司を操縦できる!?