1. 丁重に褒める
上司はチヤホヤしてほしい

昨今の「部下育成」系のビジネス書に必ずといっていいほど載っているのが、「褒めて育てろ」である。

だから、上司は部下たちのいい面を無理矢理見つけて褒めることにやや疲れ気味だ、と緒方氏は語る。

「実は偉くなるほど“褒め業務”は増えます。その一方、自分は褒めてもらえなくなる。きちんとやって当然となってしまうんですね。上司も人の子です。例えば、自分の決断で仕事がうまくいったら、その貢献度を誰かに認めてほしいわけです。だから、部下はすかさず言うべきです。『◯◯さん、さすがですね!』と。本当は部下の粘り強い交渉がよかったのかもしれないけれど、その『さすが』の一言を伝えた部下に対して上司は『俺のことをよく見ている』と高く評価し、『いや、君のおかげだよ』と返答するかもしれません」

部下の手柄を横取りする厚顔な人間も少なくないが、上司は常に矢面に立たされるツラい仕事だ。しかも案外、褒められ慣れていないだけに、時機を見計らい“絶賛”すると、上司にいい印象を残すことができる。

フェイスブックで誰かの書き込みにコメントを残さないまでも、「いいね!」とボタンひとつだけ押してあげる要領で、上司を褒め倒すのだ。

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上司は褒められたがり(AFLO=写真)

「孫正義さんなどVIPがツイッターなどSNSを利用して積極的に発信するのは、不特定多数の人々から賞賛を得たいという深層心理も関係していると思う」(緒方氏)

褒めてほしくてたまらない。ならば、褒めてあげましょう。その意味で、日本のビジネスパーソンの伝統芸であるゴマスリもヨイショも立派な戦略だ。「管理職になったら褒めるマネジメントをしなければならないのだから、肩書のないうちから、人を気持ちよく褒める技術を磨いておくと将来役立ちそうです」(同前)。