誰しもに平等に与えられた24時間なのに、何倍もの利益を生み出す人がいるのはなぜだろう? 業界リーダーたちのタイムマネジメント術を探る。
洗濯機を回し続け、日本版カスタマイズに5年の月日
2014年4月、粉末洗剤、液体洗剤に続く“第3の洗剤”として発売されたジェルボール型洗剤「アリエールパワージェルボール」。発売後1週間で670万個を出荷し、ヒット商品になった。
渡部真季氏は、日本の消費者理解や試作品の評価試験を担当する研究者として、この日本向けジェルボール型洗剤の開発に、プロジェクト発足時の09年から携わっている。「実は、ヨーロッパでは01年頃から発売されていました。しかし、日本とは洗濯条件や習慣が異なるため、日本でそのまま販売するわけにはいかなかったのです。ヨーロッパの洗濯の洗いは約40度で1時間以上。日本は、洗いだけなら水で10分以内。さらに湿度が高い日本での汗臭さや染み、生乾きの臭いにも対応しないといけなかったんです」。
こうした日本固有の洗濯事情に合わせた製品開発のため、ベルギーやシンガポールを巻き込んだグローバルなプロジェクトチームが発足。渡部氏は、日本の洗濯機を使った試作品の評価試験や消費者モニター宅への聞き取り調査など、日本側のニーズを伝える役割を担い、5年の歳月を経て、日本の消費者にマッチした製品を完成させた。