1日単位で業務と場所を分けて効率アップ

仕事は、社内でのデスクワークに打ち合わせ、海外とのビデオ会議、ラボラトリーでの実験、消費者モニター宅への訪問調査……と場所も内容も多岐にわたる。プロジェクト発足時はまだ入社2年目だったこともあり、時間のやりくりに苦労したという。「ビデオ会議を社内で行って、慌ててラボに移動して洗濯機を回したり、顧客インタビューが延びてしまってその後の書類作りが残業になってしまったり。失敗を繰り返しました。そうして1日に様々な業務をこなそうと頑張っていましたが、慌ただしいだけで効率が悪く、残業することも多かったのです」。

そこで、渡部氏がとったのは「1日単位で仕事を決め、その時間をブロックする」という方法だ。

たとえば、月曜は消費者モニターの訪問を行う日と決めたら、朝から直行でモニター宅を何件か訪問し、会社には寄らずに早めに帰宅。自宅勤務でレポートを書き終える。火曜は、ラボの日にして予約が必要な洗濯機を集中的に確保し、ラボにこもって、事前に作っておいた実験計画の通りに1日かけて様々な実験を行う。水曜日は、夕方にベルギーとの定例会議がある日なので、朝から資料作成などのデスクワークや社内会議をまとめて行う……といった具合だ。また、プライベートの予定も「火曜日と金曜日は18時からピラティスに行く」と決めてスケジュール上で事前にブロックし、週に2度は残業せずに帰るようにしている。

「時間を区切ってメリハリをつけた働き方を心がけた結果、早く帰れるようになり、効率も上がりました」。こうした予定はすべてアウトルックで、社内共有している。だからこそきちんと事前に予定を入れておかないと、空いているところに想定外の会議などが入れられてしまうこともある。

その半面、他人のスケジュールが見られる利点もあった。渡部さんはこうした時間管理術を、「忙しそうだけど、オンオフ両方を楽しんでいそう」な先輩のスケジュールを分析することで編み出したのだ。「自分の作業時間を事前に確保する、そのために1つの作業にかかる目安を把握する、残業しない日は先に夜の予定を入れておくなど、デキる人のルールがあることに気づいたんです。それを真似しているうちに今の形になりました。自分の時間ルールができたことで、発売後の忙しい時期も乗り切ることができました」。