家は気長につくる
イスラム圏の人々がある大金を手にしたとき、所帯をもちの成人男性であれば真っ先に考えるのは家(自宅)の購入だろう。
とはいえ、イラン、トルコ、エジプトといった中東の主要国家の場合、100万円程度では家は建てられない。建てられたとしても、地価や建築費が安いかなりの田舎町に限られるはずだ。
そこで、中東では、「手元に200万円あるから、まずは1階部分だけにしておこう」という感じで、身の丈に応じた家を建てる。日本のように、住宅の多くが建売りであり、購入時には外観も間取りも決まっているというスタイルではないのだ。
そしてもう少しお金が貯まった時点で2階部分の建て増しをし、さらに子供が結婚するというような場合には、3階部分を継ぎ足して子供たち一家を住まわせる。つまり、日本のように出来上がった家を購入するのではなく、長期的なスパンで計画し家を完成させていくわけだ。
そのため、1階部分の天井の上に継ぎ足しのための鉄骨がむき出しになっているような家屋も少なくない。鉄骨が錆びつかないのかな、とつい心配してしまうのだが、雨が少ない地域の特性なのだろう。