家、クルマの次は……?
分譲マンションの場合は、ほぼ出来上がった状態で販売されている物件もある。多くはコンクリートを打っただけの状態で販売し、購入後に「壁の色は○○色にしてくれ」「エントランスの天井は丸くしてほしい」などといった購入者の希望に応じて完成させるのが一般的だ。
中には、とりあえずは居間と寝室だけ完成させて、「あとはもう少しお金ができてから、自分たちでやるから」ということで、コンクリートがむき出しの部屋を残している場合もある。
まとまったお金が入ったとき、次に考えるのはクルマだろう。
イスラム圏の人々は家族単位のドライブや旅行をことのほか大切にする。そのため、5人乗りのセダンに7人、8人と詰め込んで走っている人も少なくない。
家が完成して、庭にも樹木を植えた。クルマも手に入った。そこにまとまったお金が入った……となれば、考えるのはあと一つ。
やはり「ハッジ大巡礼」だろう。聖地メッカへの巡礼は、イスラム教徒の大仕事である。
※本連載は書籍『面と向かっては聞きにくい イスラム教徒への99の大疑問』(佐々木 良昭 著)からの抜粋です。
佐々木 良昭(ささき・よしあき)●笹川平和財団特別研究員。日本経済団体連合会21世紀政策研究所ビジティング・アナリスト。1947年、岩手県生まれ。19歳でイスラム教に入信。拓殖大学卒業後、国立リビア大学神学部、埼玉大学大学院経済科学科を修了。トルクメニスタン・インターナショナル大学にて名誉博士号を授与。1970年の大阪万国博覧会ではアブダビ政府館の副館長を務めた。アラブ・データセンター・ベイルート駐在代表、アルカバス紙(クウェート)東京特派員、在日リビア大使館渉外担当、拓殖大学海外事情研究所教授を経て、2002年より東京財団シニアリサーチフェロー。2014年からは経団連21世紀政策研究所ビジティング・アナリストに就任。