イギリス人のエレガントな対応術
私も20代、30代のときは、何でも仕事を引き受けていました。欲張りだったんです。とにかく人より先んじたい。自分を出したい。若さのあまり自分は何でもできるということをアピールしたかったのでしょう。でもそれでよかったんだと今は思っています。
体力のある20代、30代は自分の力を惜しみなく使って、仕事に体当たりしたらいいんじゃないですか。直球を体感して、痛い思いをして成長していくことも大事。もちろんワークライフバランスを考える方もいるでしょうけど一生のスパンでバランスをとるっていう考えもありますよね。50代以上になれば、やはり生物学的にブレーキがかかってしまう。気持ちは前向きでも、できないことが出てくるのです。
だからこそ、若いときは懸命に働いたらいい。若いからこそできることってある。私もニューヨークのマンハッタンで仕事をしていたときは、クリスマスでも出勤したことだってありましたし、帰るのがもったいなくて、近くのジムでシャワーを浴びたりしていたこともあります。
しかしながら、それはきた仕事を節操なく何でも引き受けるっていうのとは違います。
我々は会社と約束した成果に対してお給料をもらっているわけですから、時間はお金に紐づいています。限られた時間のなかでやる仕事には必ず優先順位があります。つまり、今やっているその仕事が会社の中で、その瞬間の最重要事項か否かという判断を常にする必要があるということです。
私が働くBTジャパンはイギリスで170年の歴史を持つ大手電気通信事業者であるBTグループの日本法人です。そのため、現在170カ国以上で事業活動をするグローバル企業であり、すべてのプロジェクトはP/L(損益計算書)で評価されます。もしそこに換算されない仕事を頼まれた場合は、それに費やす時間は先行投資として是々非々で判断しなければなりません。
自分だけで決められないときは、上司に相談すればいい。どんな小さな仕事でも会社にとっては、あなたが使うその時間は投資。会社にとってどのような意味があるか、どのような利益をもたらすかを判断するビジネスセンスを習慣づけておくべきでしょう。