少子高齢化にともなう社会保障費の負担増、そして消費税アップ、年金支給開始年齢の引き上げ、雇用不安……出るお金は増え、入るお金は減る一方。つぎつぎと迫る危機に、我々は貯蓄だけで防衛できるのだろうか。家計を守るひとつの方法として、保険との上手なつき合い方を探ってみよう。
上場企業の希望退職者募集は2013年4月以降、アベノミクス効果による景気回復期待もあり、潮目が変わったという。東京商工リサーチの調査によると、13年に希望・早期退職者募集の実施を公表した主な上場企業は53社(13年11月8日現在)で、前年の63社を下回る可能性が高い。しかし募集人数は1万752人と、2年連続で1万人を上回った。
覚悟の退職であればまだいいが、倒産による予期せぬ失業はつらい。13年10月の完全失業者数は263万人で前年同月に比べ8万人の減少、勤め先や事業の都合により退職・失業した離職者は同1万人減少、自発的な離職(自己都合)は同7万人減少、完全失業率は4%ではあるものの、中年以上の再就職は依然厳しい状況が続く。東京労働局の調べでは、13年9月の求人倍率は、関東労働市場圏で34歳以下が1.00なのに対し、35~44歳になると急に厳しくなり0.56、45~54歳では0.60、55歳以上は0.60にとどまる。
求職中は雇用保険の失業給付(基本手当の支給)で生活することになる。給付を受けられる日数は年齢、雇用保険の被保険者であった期間、離職理由などによって90~360日の間で決まる。例えば20年以上勤めた会社を45歳のときに会社都合で辞めたのであれば330日。基本手当の1日当たりの額は、離職日の直前の6カ月の賃金日額(賞与は除く)の50~80%だが賃金日額の上限額が決まっていて、例えば30~44歳で1万4230円、45~59歳で1万5660円のため、これを超える人の基本手当日額は上限額である7115円、7830円となる。45歳の人が330日給付を受けると総額では258万3900円。つまり年収260万円程度の生活を強いられるというわけだ。