少子高齢化にともなう社会保障費の負担増、そして消費税アップ、年金支給開始年齢の引き上げ、雇用不安……出るお金は増え、入るお金は減る一方。つぎつぎと迫る危機に、我々は貯蓄だけで防衛できるのだろうか。家計を守るひとつの方法として、保険との上手なつき合い方を探ってみよう。

高齢者人口は増加を続け、30年後の2042年に3878万人でピークを迎える――『高齢社会白書』(2012年版)の予測である。1億人を少し上回る程度まで減少する日本の総人口の36%が高齢者ということになる。

その高齢者が昭和の大家族制度の中で守られていればいいのだが、現実は逆。高齢者単身世帯や夫婦だけの世帯が増加し、また費用の安い特別養護老人ホームは現時点で40万人を超す入居希望者が待機しているという。そこで厚生労働省は入所基準を現行の「要介護1以上」から「要介護3以上」に引き上げる方向で検討している。そして夫婦で2000万円以上の金融資産がある入所者には、食費などの補助を打ち切る方針だ。

その一方で、11年に高齢者住まい法(高齢者の居住の安定確保に関する法律)を改正し、高齢者が施設ではなく自宅で生活できるように支援する方向へ舵を切った。そのひとつが介護・医療のサービスが受けられるサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)である。

そして今、国会で審議されている「社会保障改革プログラム法案」には「地域包括ケアシステム」の推進が盛り込まれている。これは団塊の世代が75歳以上となる25年を目途に、重度の要介護状態となっても住み慣れた自宅や地域で暮らせるような、医療・介護・予防・生活支援・住まいの5つのサービスをおおむね30分以内の日常生活圏域に置き、これを「単位」として一体的に提供する枠組み。30年後、私たちが高齢者になったときのイメージはこうだ。住まいは自宅かサ高住。普段は老人クラブやボランティアに通い、具合が悪くなればかかりつけ医や地域の連携病院で診てもらう。介護が必要になれば介護老人福祉施設に入るか、訪問介護が受けられる。